長編
□君との別れは、
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「かごめが犬夜叉をきらいなら、おらもきらいじゃ!」
感情的に放った一言に、それまで黙っていた楓が口を開く。
「こら七宝、言い過ぎじゃぞ。」
う、と口を閉じた七宝。
俯いたまま動かない犬夜叉。
そんな二人を黙って見つめる楓。
誰も口を開こうとするものはいなかった。しかしその静寂を破る者が。
「楓お婆ちゃん、この前の・・・」
入って来たのは、たった今3人の話題となっていたかごめ。
彼女は一瞬顔をしかめたように見えたが、すぐに笑顔に戻った。
「この前の薬草、少し分けてくれない?」
七宝が言っていたこととはまるで違う様子に戸惑いながらも、楓は言われた通りに薬草を渡した。
お礼を言って受けとる彼女を怯えた目で見る七宝と、辛そうに唇を噛む犬夜叉。
『七宝は犬夜叉に何も言わないだろう』というかごめの予想は外れていた。彼は犬夜叉に泣きつくどころか、楓まで巻き込んでいたのだから。
(失敗した・・・)
彼女のシナリオでは、七宝はこの話に出てきてはならない。登場人物は二人だけなのだ。