長編
□雨の味
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すばやく突っ込まれた。
『死』という言葉をこれほど身近に感じたことはなかったために、戸惑う。
暗い雰囲気になってしまったので、少し後悔した。
ふと時計を見ると、
「うわ、もう7時半。」
帰宅時間が遅くなり、さらに話し込んでいたせいか、いつも夕食を食べ始める時間を過ぎてしまった。
「飯、食うか?・・・コンビニ弁当だけど。」
何気なくそう言った。
しかし返ってきた言葉は、
「魂だから、お腹、減らないの」
とてつもなく重いものだった。
再びまたあの雰囲気になる。
「あ・・・そうか、わりぃ・・・」
「あっ・・・全然!謝らないで、むしろあたしの方こそ、ごめんね、気使わせてるみたいで。」
俺は馬鹿だ。
日暮の傷付いている心を、さらに痛めてしまった。
気丈なこいつは、常に強がっているけれど。