長編
□雨の味
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「怖いよ・・・」
かごめはきゅ、と彼の袖を掴んだ。
そしてそのまま自分へと引っ張り布団に乗せようとする。
「かごめ?」
さすがに慌てたのか、犬夜叉は彼女をベッドへ寝かせようとする。
しかしかごめはなかなか頑固だ。
「傍に居てくれるだけでいいから、お願い・・・」
少し強く袖を引っ張る。
犬夜叉は観念し、ゆっくりと自分も布団に寝そべった。
「ごめん、今日だけ・・・」
犬夜叉は黙って布団の中で彼女の腕を引いた。
細い腰に腕を回し、しっかりと抱き寄せる。
そして甘い香りがただよう髪に顔を埋めた。
「あったかい・・・」
呟いた言葉に、犬夜叉は反応した。
「感覚戻ってきたのか?」
しかしかごめは悲しそうに首を振る。