キリ番
□本当はいつも
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長老はしわくちゃの手で札の表面を撫でた。
「これほど高価で、そして危険なものはありません。ですからこれはこうして封印して・・・」
その時、急に風が吹いた。
札は長老の手から離れ風に乗り、しばらく空を舞った後犬夜叉の背中についた。
「あ!」
長老とかごめの声が重なる。
犬夜叉は静かになったかと思うと、次の瞬間にはその体から妖気が溢れだした。
歯を食い縛り低い唸り声を上げる。爪がみるみるうちに伸び、血走った赤い目に変化していく。
「まずい、妖怪化してしまうぞ!」
弥勒は犬夜叉から村人を離すとかごめへと視線を送った。彼を鎮めることができるのは言霊を使える彼女ただひとりなのだから。
かごめはすぐに弥勒の意思を理解し声を張り上げた。
「犬夜叉おす・・・」
言霊がの効力が発されることはなかった。言い切る前に彼女の唇は犬夜叉のそれで塞がれていたからだ。
ちゅう、と音がするくらい吸われる。逃げようとするにも腰をしっかりと掴まれているために身動きひとつとれなかった。