甘・ギャグ夢

□風の強い日
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それはそれはある日の午後





「今日は三年生が実力だー、二年以下は早めに帰るようにー」





「起立、礼、ありがとうございましたー」





「「「「「ありがとうございましたー」」」」」




その一言でざわざわと賑やかになる教室





そんな中、黙々と帰る用意をしている金髪男が一人





「シーズちゃん!一緒に帰ろ?」





「何でだよ・・・」





「何でって、一緒に帰りたいから」





「俺はめんどくせぇから断る」





「俺は一緒に帰りたいの!ほら行くよ!」





結局強制かよ。と文句を言うシズちゃんの腕を掴んで下駄箱まで降りていく





「そういえば、もうすぐ三年生だよねー。俺達さー」





「そうだな」





「三年もまた同じクラスだと良いね!」





「俺は嫌だ」





「シズちゃんってば照れ屋っ」





「殴るぞ」





と本気で殴られそうなのでそれ以上言うのはやめた





外に出てみれば皆「きゃー」とか「わー」とか言いながら強い風に向かって歩いている





そういえば今日は木枯らしが吹いていて寒さも非常に冬らしくなってきていた





「寒いね、シズちゃん」




「手袋してこなかったのか?」





「うん。マフラーはしてきたんだけどさ、手袋が見つからなくて」





「・・・仕方ねぇな」





そう言ってシズちゃんは左手の方の手袋を取って俺に渡してくれた





「シズちゃん優しいね。でも左手寒くない?」





「大丈夫だ」





嘘つき、本当は寒がりなくせしてさ。お礼に今度は俺がシズちゃんを温めてあげよう





ギュッ





「これで寒くないでしょ」





「恥ずかしいだろ!放せッ///」





「可愛いなぁ、赤くなってるよ?いいじゃん俺達付き合ってるんだし」





「・・・・・・・・・っ///」





先程貰った手袋は左手につけて、あまった右手でシズちゃんの左手を握ると真っ赤になった





本当に初なシズちゃん。可愛くて苛めたくなっちゃうんだよね、あぁ本当に可愛い





「本当にシズちゃんは可愛いや、何度言っても言い足りないぐらいだ「それ以上言うとぶん殴る」





と照れた顔で言うもんだから黙るしかない、まぁ俺の気持ちが伝わってれば幸いだけどさ





そんな時、とても強い風が吹いた





「うっ」





ビューと大きな音をたてて俺らに向かってくる木枯らし





それに足で踏ん張っているとギュッと強い感触





それは自分の右手から伝わってきた





「・・・どうしたの?シズちゃん」





「お前が・・・」





「俺が?」




「飛んでいきそうだったから握り締めただけだ。何処にも行くな」





寂しそうな顔で言われたらあぁもうたまんないね





「大丈夫だよ、俺にはシズちゃんが居るし。シズちゃんには俺しか要らないし」





すると、うるせぇ。という言葉が返ってきたが言葉の裏返しで「ありがとう」という意味なのだろう。シズちゃんはそういう人だ





返事の代わりにギュッと俺も握り返すと安心したようにまた歩き出した





俺もそれに付いていく、寒くても心が温かいのは何故だろう






風の強い日

(俺もさ心配なんだ)

(君が何処かに行くんじゃないかってさ)


(お互いの気持ちを確かめ合えただろう?俺のおかげでさ)





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