そよ風の子守歌
□聖なる祠とバトルガール
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時間は少し遡り……
「ふぅ〜、着いたね」
『着・い・た♪着・い・た♪』
『痛い痛い!ちょっレオン、跳びはねないでよ!』
『アゲトビレッジって、いいトコだね』
クレインに教えてもらった通りにバイクを走らせ、無事に何事もなく到着していた。
「――で、まずは『聖なる祠』を管理している人に会わないといけないんだけど……」
『僕達、道はちゃんと聞いたのに、その人の事は聞くの忘れてたね』
『たねっ♪』
『『たねっ♪』じゃないわよ、全く……』
そう、肝心の『誰が管理人』なのかが分からなかった。
『ホント、すぐに突っ走るんだから』
「ゴメンゴメン。村の人は知ってるはずだから、色んな人に聞き回ってみよう」
『聞っきこ〜み聞っきこ〜み〜♪』
レオン、フィア、リツを連れて聞き込みを開始する。
「あっ、あの子に聞いてみよっか」
ちょうど視線の先には、桜色の髪をした少女が歩いていた。
声を掛けようと近付いたのが、運の尽きだった。
「ねえ、き――」
君、聖なる祠の管理人について聞きたいんだけど……
そう少女に聞くだけだった。そう、聞くだけだったのだ。
「ん?……アンタ、強そうね……よし!アタシとバトルしてもらうわよ」
「……へ?」
なのに、少女の発言に遮られ、さらにいきなりバトルしようと言い出してきた。
「何でバトル?」
「アタシ、ポケモンバトルを極めるためにオーレに来たの。アンタを見た瞬間、どうしてもバトルしたくなってね。というわけで、はいバトル」
説明もほどほどに、パンッと手を合わせ、バトルモード全開になってしまった。
「や、俺行かないといけないから」
クルッと180度回転し、管理人探しを再会しようと歩きだすが
「待ぁーてぇー!」
物凄い形相で、少女が全力疾走で追いかけてきた。
「って、ええーーっ!?」
「バートールーしーろー!!」
「に、逃げるよみんな!」
『全力で!』
『捕まりたくないっ!』
『きゃーっ♪』
「ちょっとそこ、何で一人喜んでるの!?」
何だかんだで全力追いかけっこが始まり、今に至る。
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