頂き物
□母親的しもべの襲来
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「エミルさま。髪に落ち葉がくっ付いてますよ」
「え、あ、ホントだ。気付かなかった……」
「相変わらずポケーッと抜けておられますね」
「うーん……、これでも大分しっかりしたと思ってたんだけどなぁ……」
「いえいえ、まだまだですよ」
「……エミル、そこの黒いのと知り合いか?」
ある日の昼下がり。食事も終え、各々が自由な時間を過ごしている最中、エミルは宙に浮く不思議な生物と会話を交えていた。
いきなり現れた黒い犬のような不思議な生物との気の抜けた会話に、ユーリは口を挟まずにはいられなかった。
だが、黒いの呼ばわりされた生物は実に不服そうだ。
「黒いのとは失敬な。私はセンチュリオン。センチュリオン・テネブラエと申します」
「そうテネブ……。なんでテネブラエがここにいるの?」
『気付くの遅ぇ』
ラタトスクの呆れた声がエミルの中に響く。
それについては反論の余地もないのだが、エミルはそれよりも何故、今目の前にテネブラエがいるのか。
必死に考えてみるが皆目見当もつかない。
「何こいつ魔物?」
「魔物ではありません。私はセンチュリオンです」
「えっと、初めまして。私、エステリーゼと申します」
「これはこれは、ご丁寧に。私は先ほども申しましたがセンチュリオン・テネブラエ。テネブラエとお呼びください」
「はい。よろしくお願いします」
「なんで普通に会話してんのよっ!」
リタの的確な突込みが飛ぶ。
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