そよ風の子守歌
□過去と未来が視える少女
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しばらくはハートが去っていた方を見つめていたコウだが、
気配が完全に消えたことを確認すると、ふっと肩の力を抜いた。
「――もう大丈夫だよ、フロル」
「う、うん……」
フロルと向き合い、少し悲しそうに目を伏せながら、
「……ごめんね、驚かせちゃったよね……俺が急に豹変したから」
危機が去っても、今だに不安の残る顔を見て、小さく呟いた。
「う、ううん、違うよ!そんなことないの!ただ……」
大きく首を振り、自分の気持ちを伝えようと必死になる。
「……今までずっとここに閉じ込められてて、急に君に助けられて……自由になって……私、これからどうしたらいいか、分からなくって……」
「……そっか」
フロルの今の心境を聞き、少々混乱している事が伺えた。
少しでも落ち着いてもらおうと、一つの考えを提案してみた。
「それなら、一旦俺がお世話になってる所に来てみない?そこで一緒に考えよう?」
「コウのお世話になってる所……?」
「うん。俺もシャドーに襲われた時に、色々と良くしてくれたんだ」
今もだけどね、と付け加え、苦笑いを浮かべる。
「……わかった。私……そこに行ってみる!」
決心がついたのか、何度も首を縦に振っり、肯定の意を示す。
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