青春真っ盛りなボクたち
□麦藁色をかぶった少年(後編)
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「おーい。いつもより一人多く感じるのは気のせいかー?」
「・・・き、気のせいよ」
「なわけねーだろ。なんでチビッ子がここにいんだよ」
「うるっさいわねぇ。あんたに関係ないでしょ?!」
学校の屋上。いつもとかわらない風景。
で、いつもと変わらない口調で、いつもと変わらず文句を垂れる要。
違うのは、そこに一人の女の子がいること。
「茉咲ちゃんは授業でわからなかったところ、よく僕に聞きにきてくれるんですよ。ね」
「茉咲ちゃん?」
「あ、暁は一応初対面だっけ」
あたしが首をかしげると、悠太が思い出したように言った。
茉咲ちゃんってたしか。
「春ちゃんに意地悪してた子?」
「?!」
「今はいい子になったんだー♪」
「!!」
「よろしくね。天川 暁って言います」
「ま、茉咲って言います。///」
キッと睨まれたと思い、笑顔を向ける。
と、ほのかに顔が赤らめた。
それを見てあたしはかわいいなと思った。
(あらら、茉咲まで笑顔で説き伏せますか)
(まぁ、暁の初の後輩女友達じゃん?)
悠太と祐希の会話なんぞ、暁には聞こえていなかった。
「わ、私は勉強家なのよ。わからないところは、そのままにしておけないの。まじめなの」
「それならチビッ子。学年トップのオレ様が教えてやろうか?春よりわかりやすく解説できんぞ」
「ちょっとやめてよ!!春ちゃんに教えてもらうんだから!」
その言葉にあたしはなるほどと頷いてしまう。
茉咲ちゃん、春ちゃんが好きなのか・・・。
要がその言葉を聞いてニヤリと笑う。
ハッとした茉咲ちゃんは思いつく限りであろう悪態をついて、屋上を出て行ってしまった。
春ちゃんがそれを見て、心配そうに口を開く。
「茉咲ちゃん、顔赤かった・・・風邪でもひいてるのかな・・・」
「あー恋の病とか」
「ぶっ!祐希率直過ぎ…」
「こないだ定期テストあったし・・・夜遅くまで、苦手な数学をがんばったせいとか・・・」
「そうだね、彼女は今、恋の方程式を必死に解こうとしているんだね」
「ゆ、悠太まで・・・クックック・・・」
「ちゃんと病院に行ったんでしょうか?」
「むしろお前が病院行け」
「あははははは!!春ちゃんニブすぎ!!」
「え?・・・暁ちゃん?」
あそこまでみんなに言われても、わかっていない春ちゃんに、あたしは笑いを堪えることが、できなかった。