青春真っ盛りなボクたち

□Noisy Medicine-ノイジーメディシン-
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要が怒鳴ったのと同時に、ドアがノックされた。


「みんな要くんのためにわざわざありがとうね」

「あ、すいません」


ジュースを持って女の人が入ってきた。

ってか、すっごいきれー。

その人があたしと千鶴を見て寄って来た。


「こちらははじめましてね。どうも、要くんのお母さんです」

「えー!お母さん?!」

「あっ、たっ橘 千鶴です!」

「あっ、天川 暁です!お母さん、若いですね!」

「そしてキレイっス!」

「あらあら、うれしい」


要のお母さんは頬に手をあてて照れた仕草をした。
それすらもかわいくみえるほどだ。

・・・なんでこんな人から要が生まれてくるの?

なんて、ちょっとばかなことを考えた。

要のお母さんが要を見つめながら、照れたように言った。


「要くん、お母さんくどかれちゃった。やきもち、やく?なんちゃって」

「べつに」

「ぐすぐす」

「こらー!!オナゴを泣かすなー!!」

「なんで泣くんだよ!!」

「ぷっ!」


あたしは軽く吹き出してしまう。


「あれ?ジュース一つ多いですね」


春ちゃんがきょろきょろとジュースを持ってない人を確かめる。
と、要のお母さんが手を上げていた。


「って、飲むのかよ、ここで!」


そう突っ込まれると、要に向かって正座して拗ねたように頬を膨らました。


「だってだって、お母さんも要くんとおしゃべりしたいものっ」

「いつでもできるじゃん・・・」

「うそ!要くんそっけないじゃない!手だって最近つないでくれないし!」

「何年も前からつないでない場合「最近」は不適当です。」


・・・あたしは笑いを堪える。


「ねぇそんなにうぜぇ?お母さんのこと、そんなにうぜぇの?」

「なにそのうぜぇって・・・そーゆんじゃなくてさ・・・時の流れというか」

「あんなに・・・あんなに好きだって言ってくれたのに・・・っ」


要のお母さんは顔を手で覆い隠して泣き出した。


「もうあの頃の二人には戻れないの?!何もかも遅すぎるの?!愛は消えてしまうの?」

「ちょっと!?息子に使うセリフじゃないからそれ!」


祐希が要の肩に手を置いて言う。


「思い出せよ・・・最初で最後の女だと誓った、あの日々を・・・」

「どんな日々だ!!親子だっつの!!」

「あははははは!!!!」

「お前も笑ってんじゃねー!!」


あたしは笑いを堪えることができなかった。
なにこれ、かわいすぎでしょ要のお母さん!!


「あっ、ごめんなさいね。用事思いだしちゃって。ゆっくりしていってね」


突然すくっと立ち上がった要のお母さんは、そういい残してドアを出て行った。

いや〜、いいものみましたよ〜。




 
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