青春真っ盛りなボクたち

□きょう、あした、あさって。
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(春視点)


―キーンコーンカーンコーン・・・


「ゆうきこざるまてゴラーーー!!」

「きゃーっ」

「あれ?」

「要に祐希に千鶴だ」


体育が終わって、3人で歩いてたら下から声が響いた。
見ると要くんたち。

要くんが祐希くんと千鶴くんを追いかけてた。


「昼休憩の時のタッチまだ続いてたんですね」

「ほんとだねぇ。なんで続いちゃってるんだろうねぇ。ふしぎ〜」

「悠太、なんていけしゃあしゃあと・・・」


暁ちゃんが呆れたように言う。

なるほど。さっき授業中、悠太くんいなくなってたから、そのときかな?

思い当たったボクは、あははと苦笑で返すと、下をじーっと見ながら言った。


「・・・っていうか」

「ぜってータッチすんぞ、てめーっ」

「・・・これもうオニごっこですよね?」

「うん」

「ですよね・・・発端なんでしたっけ」

「「千鶴」」

「あ、あはは」


苦笑を漏らしふっと見ると、あれ?


「あれ?みんながいなくなっちゃった」

「さっきあそこの階段上ってたよ♪」


暁ちゃんが指す階段を見る。
心なしか、暁ちゃんが楽しそうに笑っていた。
それと同時に、地響きのような・・・どどどどどという音。
しかも近づいてきて・・・


「まてゴラーーー!!」

「わっわーーーっっこっちきたーーーっっ」

「春ちゃんたすけてーっ」

「あはは♪」


要くんたちがこっちに向かってやってきた。
暁ちゃんは笑顔だけど、えぇ?!ボクらもですか?!

ボクは顔を青ざめながら、だっっと逃げた。










「よしここだ!」


千鶴くんに腕を引かれるままにやってきたのは、階段脇の用具室。


「ここならオニに見つかることもあるまい!ホラ春ちゃんも早くかくれてかくれて!」

「でもこのあとも授業が・・・ていうかボク参加してないし・・・」

「この休憩時間だけやりすごせればいーの!」


戸惑いながらも、一緒に入る。
扉を閉めると中は暗かった。


「ちょっとうす暗いですね」

「春ちゃん暗いのダメなの?文化祭のおばけやしきもわーわー言ってたよね」

「はは・・・言ってましたね・・・思いだすとはずかしいです・・・」

「あはは」

「今だれがオニなのかな」


呟いて、沈黙。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・あー・・・のさ」


少し寒いなぁなんて思ってたら、千鶴君が口を開いた。


「春ちゃんは・・・いないの?」

「はい?」


いつもみたいな元気がない千鶴くんに、ちょっと戸惑いながらも聞き返してみた。


「・・・だからその・・・」


言いづらそうにしながらも、言葉を紡いでく千鶴くん。
そして、小さな声で言った。


「・・・好きな人とか」

「・・・・・・え」


聞かれたことに一瞬呆気にとられた。
そしたら千鶴くんは慌てだす。


「いっいやあくまで、なんとなくね!普段しない話も新鮮でいいかなぁ、みたいな、あくまで!」

「は、はぁ・・・」


そんなに慌てなくてもいいのになぁ。と思いながら、苦笑する。


「好きな人・・・ですか・・・うーん・・・」


浮かんだのは、あの明るい笑顔。
くるくる変わる表情。


「まだ・・・いない・・・かな・・・」


途切れ途切れにそう言った。
正直、自分の気持ちがまだよく分かっていないから。


「・・・・そ、そっか・・・・・・そっか・・・」

「千鶴くんはいないんですか?」

「えっ!!オオオオオレ?!オっオレはもう、そりゃもうそりゃもうそりゃもう・・・」


また焦ったようにする千鶴くん。
そしてボクに飛び掛ってきて。


「わっ」

「オレの好きな人は春ちゃんでーい!」


耐え切れず後ろに倒れた。
と、なにかにぶつかって、それが落ちてきた。


「「わああああっ」」


目が回る。


「ご、ごめんご・・・」

「い、いえ・・・」


ゆっくり目を覚まして、落ちてきた箱などをどけた。


「よいしょ」


―かさ...


「ん?」


手元に何かがあたった。
目をやる。


「なんだろ、これ」

「うお?」


手にとって、よく見ると古い手紙だった。


「・・・手紙?机の中にでも入ってたのかな」

「どらどら。えっと
《木村吉伸くんへ 私は3組の長谷川かなこです。1年の時からずっと木村くんのことが好・・・》」


・・・


・・・


・・・


・・・


・・・


「まままままさかこれ、世にいう・・・っラブリターーーーー!!?」

「えええーーー!!?」


ボクと千鶴くんは、とんでもないものを見つけてしまいました。


 
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