青春真っ盛りなボクたち

□きょう、あした、あさって。
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「で?」


今度は放課後。
イライラしたように要くんが声を上げた。


「なんでこういう展開になってんだよ」

「・・・さぁ」


あたしたちは放課後、理科室にいた。
理由は・・・。


「よ、よかったじゃないですか。理科室掃除したら、図書室の方許してもらえるんですから」

「ちげーよ!やらかしたのこいつなのになんでオレまでまきぞえくわなきゃなんねんだっつー話だよ!」


・・・まぁ、図書室の水浸しの件。

先生たちにみっちり怒られて、結果こうなった。


あたしはこの状況、楽しんでるけどね。
だって・・・。


「いいじゃんべつに。さっさとやろ!ヒマがなくなってよかったじゃん!」

「そうだよ!あんなにヒマだったのに見てよ!今のアクティブなオレたち!」

「ヒマしてたのはお前らだけだ!」


要にかるく叩かれた。
でも、だって、ヒマがなくなるからいいじゃん!


むすっと膨れながら、掃除用具入れに向かう。

と、祐希が悠太の服を引っ張った。


「掃除ってこういうのも消しとくのかな」


こういうの、と指したのは机の上。


「ん?ああ、机のらくがき?」

「そんなのやってたらキリないよ?」

「・・・そっか」

「特別教室の机って、らくがき多いですよねー」

「あー彫ってあるのもあるしな」


ぴょんぴょんっと千鶴が後ろから来て、机のらくがきを見た。


「ぷぷーーーっ高校生にもなってらくがきたぁ次元が低いですなぁ」

「そうだね」

「オニごっこのあたしたちが言えることじゃないけどね」

「なんでよ!すげぇ白熱したじゃん!オニごっ・・・」


千鶴の言葉が切れた。

うわ、またなんか考え付いたみたい。


「やべ今、オレという天才が咲いた。ペンか定規ねーかな〜〜〜あた!」

「千鶴の頭にはいつでもお花が咲いてると思うよ。あほの」

「黙らっしゃい!」


ごそごそと机の中をいじって、目当てのものを見つけた千鶴。


「ふーんふふーん!」


鼻歌交じりに、ガリガリと机を掘り出した。


「・・・高校生にもなって?」

「それはそれ!これはこれ!」


・・・3分ほど前に言った言葉を、即座に撤回しないでください。


「わっ、ちっ千鶴くん彫っちゃだめですよ!何を・・・っ」

「いいこといいこと」


ガリガリガリガリ・・・


「じゃーん!よーし完成!」


出来たのは・・・

なんだ?

長方形?

ボタンの横から見た図?


「・・・何これ。シルクハット?」

「君どーみたってお墓でしょう、これ!」

「・・・どーみてもお墓なんだ・・・へー・・・」


全員が見てる中、得意そうに千鶴が話し出した。


「えー、大変に白熱した今日のオニごっこですが、そろそろキリがない感じになってきましたので、このオニごっこの墓場に最後タッチして、長き戦いに幕をとじるというのはどうだろう!」

「おぉ!千鶴がなんかまともに見えた!」

「マジで?!」

「・・・バカか」


え、やっぱオニごっこになっちゃってるんだ、今更ですが。

そう思いながらも、千鶴の提案がなぜか気に入った。

・・・あたしホントに千鶴化進行しすぎ?!


「あーいんでない?」

「うん」

「ナイスアイディア!」


ばっと千鶴が手を広げた。


「それでは今オニの方!ここにタッチして終焉の美を飾っちゃってくださいな!」

「「「「おーーーっ」」」」


パチパチパチパチ・・・


みんなの拍手のなか・・・


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・要、早くやんなよ。変に間があくでしょ」

「は?オレじゃねぇよ。オレ悠太にタッチしたし。悠太だろ?」

「え、違うよ。オレ暁にタッチしたもん」

「あたし千鶴にタッチした!」

「オレ要っちにタッチしたよ?」


・・・



・・・



・・・



・・・



・・・



「ええ゛?!ちょっ今さらオニ誰かわかんないとかやめてよ?!」

「残念♪」

「だってホラ・・・っもう彫っちゃったよ?!」

「千鶴ベンショーだ!」

「えぇ?!」

「うわーこーいうのなんだ・・・。こーいうオチなんだ・・・」

「あ、あほくせぇ・・・あんだけ体力使わせといてなんっつー・・・」










なんというか










「もーいい・・・まじでさっさと掃除して帰ろうぜ・・・」

「なんか変に疲れたね」

「ね」

「せっかく彫ったのにーい」

「千鶴どんまい!」

「えーん」










ボクらの毎日なんて

良くも悪くも大方こんなもので










「あ、そういえばあのラブレターは今誰がもってるんですか?」

「え?春ちゃんじゃないの?」

「いえ、ボクじゃないですけど・・・」

「おいおい、そっちの件もあやふやに終わんのかよ・・・」

「もしかしたら自分の足で愛しい人の元に旅立っていったのかもよ」

「おっ!かもな!」

「そーいう発言は幼稚園でしてください・・・」

「まぁ、千鶴と暁は脳みそ幼稚園児なんでしょうけど」

「「むっきーーー!!」」










ロマンスもドラマチックも
そーそーまいおりてくれないけど










「まぁ、探すにしても今日はもういいじゃん。明日もどうせヒマなんだから」

「悠太それ言っちゃだめーーーー!!」

「言わないでーーーーっっぎゃーーーーっっ」











        これはこれで
        けっこうありなのかな










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