青春真っ盛りなボクたち

□三日月シルエット
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「っはー」


満足そうな千鶴のため息に笑みがこぼれる。


「あったかいごはんにきれいなシンデレラ。いいもんだねぇ。食堂ってのは」

「ね!目の保養・・・」

「屋上そろそろ寒いし。しばらく食堂で食べる?」

「いいですねそれ」

「えー・・・」

「ここにえーとか言ってるやつがいんぞー」


要の言葉に祐希を見た。


「祐希寒いの苦手でしょ?なんでー?」

「なんでって・・・悠太ー」


言うと悠太の腕を引っ張って移動した。


「暁が毎回あんな風に笑ってたら、学校中に暁が狙われちゃうじゃん」

「あー・・・まぁ大丈夫でしょ」


祐希の言葉に悠太はさらっと流して、みんなの元に戻った。
残された祐希はムスッとしながらでもと、続けた。


「オレ今シール集めてんだよね。コンビニの」

「シール?」


祐希が制服のポケットから紙を出した。


「今コンビニでやっててね。パンとかおにぎりとかお弁当についてるシールを30点集めると絵皿がもらえんの」

「あーあれですか」

「えー?!いいな!いいな!!」

「今何点なの?」

「・・・9」

「んだよ。まだ半分もいってねぇじゃねぇか」


祐希の言葉に要が呆れたように言う。
と祐希がぷくっと膨れた。


「だから?自分はテストの折り返し地点お祝いしてもらったからって。上から見ちゃって」

「してもらってねぇよ。あれのどこがだ」

「だから毎日食堂になったらシール集まんないじゃん」

「そっかー・・・」


うーん・・・と考えると、悠太が言った。


「じゃぁ祐希はコンビニのごはん持参して来れば?」

「だってそんなのみんなが学食食べてるの見たら、絶対そっち食べたくなるじゃん・・・」

「・・・」

「祐希わがままだぞー?・・・分かるけどさー!!」

「はいはい!」


うーんとまた唸ると、今度は千鶴が叫んだ。


「じゃあさじゃあさっシール当番制にしたらよくね?!」

「なるほど!!」


千鶴の言葉にあたしもガタッと立ち上がった。


「千鶴あったまいいー!」

「へっへーちー様にはこんなこと、朝飯前よ!」

「シール当番制ってなに?」

「「へ?」」


祐希の疑問に、首をかしげる。

・・・こんなこともわからないのかい?(キラーン)


「説明しよう!あのね!コンビニのごはん食べる人を日替わりで変えるの!」

「そっ!そいでシールはゆっきーにあげんの!」

「あーなるほど。・・・っていうか暁、説明なしに分かっちゃったんだ・・・」

「分かっちゃったんだね・・・」

「え?!な、なんで?!」


悠太と祐希が泣きまねっぽく目に手を当ててそういった。


って、なんか憐れんでるよね?!な、なんで?!!


「はぁー・・・勢いだけでやめろよ、そういう・・・」

「えーっなんでおまけしてくれないのー?」


ため息をつく要の言葉を遮って、千鶴よりでかい下品な声が聞こえてきた。
みんな固まって、そっちを見る。(祐希以外)


「・・・うちはおまけ受け付けてないので」

「えーうそだよーしてたよ。だってオレ見たもん。天ぷらとあぶらあげ両方もらってるヤツー」


見るとあのシンデレラさんが、二人の男子生徒に言い寄られていた。


「・・・もしかしなくてもあれかな。祐希のうどんが波紋投じちゃってるのかな」

「シンデレラピンチ!」

「おい、お前助けに行ってこいよ。説明するなりなんなりして」

「え?」


無関心な祐希に、千鶴が言った。


「えじゃねぇ、早く行け!シンデレラってのはいじめられても何も言えない、かよわき女の子なんだよ!!そして」


ぐいっと腕まくりをした千鶴が駆けた。

って、えぇ?!


「白馬の王子の登場を、今か今かと待っているんだよ!」

「ってお前が行くのかよ!!」


駆けた千鶴の背を見送る。

う〜ん・・・白馬の王子っていうより・・・金髪の猿?


「ねーねーお願いってば〜オレたち育ち盛りなんだよ〜〜〜」

「・・・・・・」

「あ、じゃあさ、おまけしてくれたら、今度映画に・・・」

「しつこい」

「・・・え?」


いまだまとわりついてる男子高生に、きつい一言が飛んだ。

見ていたあたしたちもビックリ。


「おまけの一つ二つでさわいでるボクちゃんたちと映画?」


シンデレラが男子高生たちを向いた。

そこには儚いシンデレラっていうより、かっこいく笑う女の人。


「女誘うなら、自分で稼げるようになってからにするのね」


 
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