青春真っ盛りなボクたち

□colorless blue-カラーレスブルー-
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「「バスケ部から勧誘!?」」

「んん」


天ぷらをはもはも食べてる祐希に全員が吃驚した。


「なんかさっき部長の柳って人が・・・その場で断ったけど」


あーさっき知らない人と話してたかも。

さっき祐希がシンデレラさんと話してて、遅いからって千鶴が祐希を呼ぼうとした。
悠太がちょっと怖い冗談を言って話を逸らしてたけど、あたしは目が祐希に行っちゃったんだよね。
そのとき見た男の子かな?

そんな風に思いながらも、あたしは自分がちょびっとだけ成長したなぁなんて思った。

だって今は祐希がシンデレラさんと話してても怖いって思わなくなったもん。
さっき悠太が話を逸らした時も

(あぁ、祐希が他人への関心を持ったんだから邪魔しちゃいけないんだな)

って納得したし。

成長したよね!きっと。

で、話が戻って祐希が部活の勧誘を受けたって・・・。


「つかなんでお前?お前の辞書のどこにチームワークって言葉があんだよ・・・」


要の言葉に一同が頷く。

だよね。やっぱりそこにぶつかるよね。


「祐希、春に部活探しでバスケ部の人たちと試合したことあるし、それじゃない?」

「あー祐希くんすごい上手でしたもんねーっ」

「そーいえばそんなことがあった!」


悠太の言葉に思い返して、はっとなる。

ガタッと椅子が二つ、音を立てた。


「てめ、このやろ!バスケ部なんてアクティブな部活入ったらいつオレと遊ぶんだよ!きーっ」

「あたしと遊ぶ時間もなくなっちゃうジャン!!」

「だから断ったって・・・」


千鶴が祐希の胸倉を掴んで喚く。
あたしも身を乗り出して祐希に迫った。

・・・まぁ、成長したって言っても、遊ぶ時間くらいは欲しいじゃないですか!!


「はっいいじゃねぇか。いっそ入部しちまえよ」


千鶴と二人で祐希にアクティブな部活反対論を説いてたら、要が笑いながら言った。


「お前の青春に足りない、汗と努力とハイタッチをちったあバスケ部でうめてこい」

「「「「・・・・・・」」」」


要の言葉にあたしたちはじーっと祐希を見る。





―――バスケ部の浅羽祐希が





汗と努力と・・・





ハイタッチ・・・





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、あれ?オレ脳細胞減ってきてんのかな。ぜんっぜんイメージできねぇ」

「あたしも。祐希にバスケットボール持たせようとしたらアニメージャに変換される・・・」

「あ。オレちょっとできたよ。かなりモザイクかかってるけど」

「えっすごい悠太くんっボクなんかぜんぜん・・・!」

「な?かなり深刻だろ?」

「・・・・・・・・・・・・ちょっと君たち」


祐希がぼそっと反論っぽく言ったけど、いやマジで。
ホントにかなり深刻だと思った。

いや、ホントに。

でもでも、とあたしと千鶴はまた立ち上がる。


「でも!このメンバーに汗と努力とハイタッチなイメージが合う人が見つかりませんので、やっぱり祐希は入部しちゃだめです!」

「それはそれで深刻だな・・」

「むきーっ!だめだだめだ!入部は絶対認めんぞ!」

「なんでお前の許可がいんだよ」

「このメンバー初の運動部員かー」

「いやだー!」

「だめだー!」

「・・・・・・」


ぎゃーぎゃーみんなで祐希の部活について話し合う。
千鶴とあたしは反対しながら、悠太と春ちゃんはそれを聞きながら、要は入部を推すような感じで。

まぁいつもどおり騒がしくお昼は過ぎていった。

祐希が最近あたしと目を合わせてくれないのを、やっぱり今日の昼も少しだけ切なく思って。


 
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