青春真っ盛りなボクたち
□ボクらの17回目の春に
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―春もうらら
桜は満開
桜吹雪が舞い上がるというより
砂ぼこりの舞う春は
育ち盛りの少年たちにとって
少しも腹の足しにならない
「…ったく。誰だよ、屋上で弁当食おうなんて言いだしたのは」
文句を垂れるのは、
黒髪に眼鏡のいかにも優等生な
塚原 要
「だって、天気いいのに教室じゃもったいないじゃないですか」
「おかずが砂まみれになる方がもったいねーっつの!」
要は眉間にしわを寄せて愚痴る。
「あ、じゃあボクのサンドイッチから好きなのとってくださいよ」
そんな切れ気味の要に優しく声をかけてるのは
髪が長くて、可愛い顔の、女の子のような
松岡 春
あくまで女の子のような、だ。
「要なんかに必要ないよ、春。ちゃんと自分で食べなさい」
「要ボンボンでしょ。おかずの一つ二つで何さわいでんの」
要に対して正論を述べているかのような(あくまで‘ような’だ)無表情の二人
一人は前髪を真ん中で二つに分けている
浅羽 悠太
もう一人は前髪を好きに伸ばしている
浅羽 祐希
「腹に入ればなんでも一緒じゃない?細かい男はモテないぞ!」
幼い表情で頬を膨らましているのは
髪の毛が短い、少年のような(あくまで以下略)少女
天川 暁
暁はこの春に転校してきたばかり。
双子のいとこだからか、自然と、このメンバーになじんでいた。
「いちいちつっかかってくんな。オレは、お前らの巻き添えくらうっつーのが腹立つんだよ」
要が不機嫌を露にしながら、三人に答える。
が、そのとききっと、要以外の4人が4人全員、
同じことを思っていた。
『『『『だったら誘った時断ればいいのに・・・』』』』
― ボクらは穂稀高校の2年生になった ―