青春真っ盛りなボクたち

□きょう、あした、あさって。
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ぽかぽか陽気な屋上。


「はぁ。今日もいい天気。毎日がこんなに穏やかだと心も落ち着きますね」


微笑む春ちゃんが、嗚呼可愛い。

可愛いんだけど・・・


「っていうかヒマだよね・・・」

「千鶴、言わないで・・・」

「なんでこんなにヒマなの最近・・・」

「だから言わないでってば、悠太・・・」

「弁当食べ終わったら何すればいんだろオレ・・・もっとペースおとして食べなきゃ・・・」

「・・・」


弁当を突きながら憂鬱。

そう、みんなが何度も言ってるように、あたしたちヒマなんです。


「ジメジメうぜぇやつらだなぁ。いつものことだろが。お前らがヒマこいてんのは」


要が本を読みながら言うけど。


「状況が違うの、状況がー」

「そうそう。ホラ、最近あたしら文化祭やらなんやらで頑張っちゃったじゃん?」

「いや、お前ダラダラだっただろ」

「しかも輝きまくっちゃったじゃん?オレたち」

「輝いてねぇよ。いつもどおりだろ」

「それなのにいきなりこんな平凡な生活に戻されても困っちゃうわけよ」

「ねー。ものたりないよね」


千鶴と二人でため息を付き合う。
ぐだーっと倒れこんで、視線を春ちゃんに。


「「春ちゃ〜〜〜ん、なんかおもしろいことない〜〜〜〜?」」

「暁がヒマすぎて千鶴化してるね」

「ね」

「え、嘘ー?千鶴と同レベルとかいやだーー」

「ひどぉっ!!春ちゃーーーん!!」

「あ、あはは」


悠太たちに反論して、千鶴が嘘泣きする。
いつもどおりなのに、文化祭やらでなんか・・・ヒマだよぉ〜。


「悠太〜〜」


地面を這って、悠太の腰に巻きつく。
それを見た祐希が、あたしの腰に巻きつく。


「見てるだけで暑苦しいな、お前ら」

「「あら、ヤキモチ??」」

「違うわー…っ!!」


ばしっと要くんに平手を貰う。(おでこにね)

いてててて・・・にしても。


祐希が前みたいに戻ってくれてよかったです。はい。


「春ちゃ〜〜ん。ヒマだよ〜〜〜」

「あはは・・・」


千鶴があたしみたいに春ちゃんの腰に巻きついた。
春ちゃんはそれを苦笑で促してから、視線をめぐらせる。


「うーん・・・あっはいはいっそれじゃぁふりかけなぞなぞだしますね」

「なぞなぞ?!よしきたーっ」

「だしてだしてー」

「春ちゃん神様だー!!」


春ちゃんの言葉にあたしたちは春ちゃんの周りに集まる。
そんで正座して、問題を待った。


「ではいきますよ」

「「「「はーい」」」」

「パーティーに招待したのに来なかった動物は次のうちどれでしょう。1番うさぎ「3番」

「っ!!」


問題を聞いてたら唯一集まってない要が答えた。

ってえ?!なんで?!


「なんでわかったんですか?!」

「こっち向いてんだよ。答えの面が」

「なるほどー・・・って」

「もーっなんで答えちゃうんだよ、要っちはー!!」

「アホー!!ホント要KY。要のKはKYのKーだ!!」

「今日のメインイベントになるはずだったのに・・・」

「あぁ・・・」


祐希がよろける。
あたしも軽く目眩がした。

ヒマだ・・・ヒマすぎるぅぅう〜〜〜!!!


「このやろ本読むのやめろ!!」

「その本貸せぇ要!!」

「オレたちがこんなにヒマなのに、要だけすることあるなんて不公平だよ」

「てめ・・・っかえせよオイ!どういう理屈だ!!」


ヒマすぎてとうとう要いじりに動きました。

要の本を奪って逃げ回る。


「も〜〜〜〜ちょっとみんな・・・」


―がちゃっ


春ちゃんの声に扉の開く音。

そっちを見ればひょこっと茉咲ちゃんがでてきた。
ついでに光輝も。(←ついでっ?!


「春ちゃん」

「茉咲ちゃん」

「!」


要とじゃれてた千鶴がぴくっと反応したのを、あたしは見逃さなかったぞ。


「光輝もいらっしゃ〜い」

「いらっしゃいってアネキ…」


それを尻目に光輝に近寄る。
ヒマだしなんかたまには光輝いじろっかなぁって思ったり。


「ご、ごめんね。まだお弁当中だった?ごめんね。えっと・・・っ」

「いえ、大丈夫ですよ。お勉強ですか?」


茉咲ちゃんは照れたように春ちゃんに寄ってった。


・・・いやぁ〜、青春ですね・・・。


光輝の背中に抱きつき、首に回した手にぶら下がる。
光輝がく゛る゛し゛い゛〜〜〜〜って騒いでるけど、面白いから。

それをしながら茉咲ちゃんを見ると、そそそっ・・・と千鶴が茉咲ちゃんの横に行った。


おょ?


茉咲ちゃんは数学を教えてもらってるみたい。


「あーここはボクも理解するのくろうしましたよ」

「しゅ、春ちゃんも?」

「はい」


ぷす ぷす


「えっとここはですね・・・」


ぷす ぷす


つい つい


「っもーーーー!!なんなのよさっきから!ジャマしないで!」


茉咲ちゃんが叫んだ。

春ちゃんと話してる茉咲ちゃんを、千鶴がつんつん突いてるからだ。

千鶴が構って欲しいオーラ出してます!なんか・・・


・・・青春だねぇ〜・・・


「ねぇ〜光輝〜」

「はい?」

「いやぁ〜なんでも・・・」

「…っっていうかアネキ、くっつきすぎ……っ!」

「えぇ?ごめんね?」


顔が赤いから暑いのかな?と離れると、後ろに引かれた。

転ぶように背中を預けると、祐希の顔が上から覗いた。


「・・・」

「・・・祐希?」

「・・・甘えん坊」

「むっ!」


祐希に呟かれて、まぁ事実かもしれないけど、むっとした。
それでも人恋しくて、祐希のほうを向いて正面から抱きついた。


「っあーも、ほんっとつまんね!つまんなすぎてちーちゃん泣いちゃうわ!ぶびーっっ」

「うわっ」

「あーちょっと人の服で鼻かまないでよ」

「かんでないポンっ」


和んでたら千鶴が祐希の袖で鼻かんだ振りをした。
あたしはそこから非難。

だって、振りっていったって・・・ねぇ・・・。


「・・・」


祐希が千鶴が鼻をつけたところをごしごし擦る。
そんでその手を要にべたーとつけた。


「ってかんでないっちゅーに!」

「いや、わかってるけどなんとなく・・・」

「オイ」


つけられた要は(実際何もないけどね)イラッとした表情でそこを擦る。


「人になすりつけてんじゃねぇよ」


そう言ってぐーっと手が伸びてきて、あたしの袖に・・・って。


「要こそ人につけるなー!」

「お前がそこにいるから」

「なにそれー!!」

「だからなんにもつけてないっつの!!」

「悠太あげるー」

「いや、いらないから。なんですぐそーやって・・・」


あたしもつけられたところを擦って、悠太にタッチ。

悠太も擦って。


「はい、千鶴」

「ほんっと失礼だな。君たち・・・」


すごい顔で千鶴が怒って、そのあとぐっと構えた。


「そーかいそーかい。そっちがその気なら、こっちだって・・・」


なになになになに??


「はいっターーーーーーッチ!!!」

「っで!!!」


千鶴が思い切り要を叩く。


「おっ前今どさくさになぐっただろ!!」

「なぐってないポン!」


そういいながらも逃げる千鶴。


「あはははは!!」

「笑ってんじゃねぇ!クソッ」


要が毒づいて千鶴を追う。
千鶴はうきうき、物置の横についてる梯子に登った。


「っのまて小ザル!タッッッッチ!!」

「いだーーーー!!」


千鶴の背後からケツをおもっきし叩く。

それを見てたら祐希に腕をつかまれた。


「え?」

「行くよ」


そそくさと弁当箱を持って歩き出す。


「じゃ、ボクたちケンカ嫌いなのでこのへんで・・・」

「うわっ」

「あ!!」


めっちゃうそ臭い言葉とともに屋上を出かけた。
が、見逃す千鶴ではなく。


「このやろ!今さら戦線離脱などさせまいぞ!とう!!」


梯子からこっちに向かって飛び降りてきた。
背中の太陽がなんか眩しいぞ!!千鶴かっこいい!!

でも受け止めるわけもなく、ささっと避ける。


「ターーーーーッッチ!!」


びたーーーん


「「祐希っ」」


祐希が下敷きになった。
しかも思い切り床に転んで。

心配になって悠太と二人しゃがみこむ。


「ゆっ悠太ぁ〜〜〜暁〜〜〜」

「大丈夫祐希?!」

「どっかいたいの?ホラ、ちゃんと見せ・・・」

「タッチ」


・・・



・・・



・・・



・・・



「・・・・・・タッチ」

「ええ゛?!!」


こんなとこでもお兄ちゃん性質な悠太。
助けようとした悠太に、祐希がタッチした。
数秒の沈黙の後、祐希に返そうとした悠太のタッチは、しかし祐希が引っ張ってきた千鶴に阻まれた。


「うわ、ゆっきー最悪!!友達を盾に!!」

「ふん。戦いとは、血で血を洗う抗争のことさ」

「ケンカ嫌いなんじゃないの?!祐希の使っていいセリフじゃないよ!?」

「っていうか祐希くん、今かるくお兄ちゃんのやさしさにつけこんだよね?」

「あっきーパース!!」

「わっいらない!!要ーー!!」

「ふざけんなっ!!」


これらが発端にあたしたちは昼休み中ずっとタッチゲームをしていたのでした・・・。





「アネキたちって、やっぱりちょっとバカなんですか?」

「あ、あはははは…こ、光輝くんに茉咲ちゃん。ふりかけなぞなぞでもしましょうか。ねっ…」




 
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