青春真っ盛りなボクたち

□陽だまりの詩
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「“職場体験”?」

「はい」


自販機前。
祐希と千鶴が飲み物の取り合いをしてる中、遅れてきた春ちゃんが見せたビラに書かれていた。


「あーなんかもらったね。そんな紙。まだよく見てないけど」

「毎年2年が行くんだっけか?それ」

「うっわ〜!なんか面白そうだね♪」

「見てくださいよここっボクらが通ってた陽だまり幼稚園が、職場体験先リストに入ってるんですよっ」

「ほんとだ」


紙を見せてもらうと、確かに‘陽だまり幼稚園’の文字が。
春ちゃんが嬉しそうに言った。


「ねっだからみんなで陽だまり幼稚園に行きませんか?」

「・・・・・・」

「いいね。それ」

「あたしも行くーーー!ちょっとしか通ってないけど、久しぶりに見たいな」

「かおり先生、今もいるのかなぁ。ねぇ?」

「な・・・っんだよ。オレにふんなよ!ガキん時の話だろ、あれは!」

「・・・・・・」

「遊具とかふえてるのかな」

「あはは!かもしれないですね」

「小っこい子達いっぱいなんだろうなぁ〜」

「幼稚園児なんだから、小さくて当たり前です」

「楽しみですねー!ねっちづ―――――・・・」

「「「「「・・・・・・」」」」」


春ちゃんが振り向いた瞬間、みんなが一斉に沈黙した。

理由は簡単。


「あ、どうぞ?オレのことは気にしないで盛り上がっちゃってくださいよ。部外者はおとなしく見てますから」

「・・・お前めんどくせぇスネ方すんなよ・・・」

「千鶴スネてるーーー!!」


そう、千鶴が目を線にして、体育座りをしながら紙パックを啜って・・・スネてるから!!


「べっつにぃ?たしかにオレだけみんなと幼稚園一緒じゃないし、なんか疎外感感じちゃってますけど。それくらいじゃスネませんよ、べつにー」

「そう言ってる口がもうとんがってるんですが」


ぐちぐちと言う千鶴に、春ちゃんが屈んで心配そうな顔をする。
そんな春ちゃんを見ずにいじいじしてる千鶴くん。


「千鶴くんっ千鶴くんも一緒に行きましょうよ」

「だってオレそこの卒園生じゃないし・・・」

「あたしも卒園生じゃないもん!でも疎外感を感じぬように図々しくも会話に割り込んだんじゃないか!!千鶴隊員!世の中図々しくなくては生きてはいけませんぞ!!」

「・・・あっきー隊長・・・」


さっと手を伸ばすと、キラキラした目で見てくる千鶴。

そのまま見つめ合って・・・手を取り合って・・・


「・・・あっきー・・・」

「・・・千鶴・・・」

「「うわぁ〜〜〜ん!!」」

「やかましい!!」


バシッといい音をさせて、要があたしと千鶴の頭を叩いた。


「ちょっと!今初めて千鶴と心が一つになった瞬間だったんだから邪魔しないでよ!」

「お前らはいつも、脳みその作りが二人で一つだろーが!!」

「オレの心の声に気づいてくれたあっきーをバカにするなーーー!!」

「実際声に出てたんだよっ!!」


ぎゃーぎゃー騒ぐ要と千鶴。(←お前もだろーが!

そんなことお構いなしに悠太が言った。


「それじゃみんな陽だまり幼稚園に決定ということで」

「はいっ」

「千鶴隊員ー」

「あっきー隊長ー!」

「いつまでやってんだ!・・・ったくよぉ・・・」

「・・・ホント、楽しみだね」


千鶴と抱き合ってると、祐希がボソボソっと言った。


「要の恋が、どんな展開を見せてくれるのか」

「だから今は違うつってんだろ!」


あぁ!!!!!!!


 
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