青春真っ盛りなボクたち

□colorless blue-カラーレスブルー-
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(祐希視点)


「よーっし!昼メシ食うぞーっ」

「おー!」


千鶴と暁がカレーうどんを見ながら言う。


「千鶴くんと暁ちゃん、嬉しそうですね」

「モチよ!やっと期末テスト終わって自由の身だもん!」

「ねー!やっと全て終わったー」

「お前らは色んな意味で終わったけどな。がんばれよ、追試」

「あーあーあー聞こえません!」

「ガキか、お前は」

「ふ、ふんっあんな紙きれの上の数字で人の価値は決まらぬ・・・ハズだ!きっと!」

「なに自分に言い聞かせてんの?」

「だっ大丈夫ですよ千鶴くんっ不安な気持ちもごはんといっしょにのみこんじゃいましょう!」

「そーそー。悔やんだって仕方ないさ」

「暁は少し落ち込みましょうね。千鶴と同じくらい危ないんだから」


悠太が言うとぶーって暁が頬を膨らませた。
それから千鶴と一緒にテストの愚痴を話しながら席に向かって行く。

・・・やっぱり、と思う。

やっぱり、暁はなんとなく変わった。表情が。
安定してる・・・んだと思う。
でもその理由とか原因とか全然オレにはわかんない。
それに。

未だにオレは、暁と上手く接することができてなかった。


「祐希は何頼んだの?」

「!・・・天ぷらうどん」

「いいなぁーそっちも」

「あっきーずっと悩んでたもんねー」

「あー天ぷらにして千鶴の少し奪っちゃえばよかったー」

「よくないよそれ!オレの分が減っちゃうでしょ!」

「千鶴のものはあたしのもの。あたしのものもあたしのもの」

「どこのガキ大将ですか」


突然声をかけられて少し驚く。
普通に答えたつもりだけど、悠太が暁に言いながらもオレの方をチラッと見てきたから、ばれたかも。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「はい次。天ぷらうどんの人ー」


悠太がなにか言いたそうだったけど、シンデレラさん(・・・だっけ)に呼ばれてオレは悠太から視線を外した。

天ぷらうどんを手に取ると、シンデレラさんが言った。


「ふふ。学食なんか食べちゃって余裕ねー。シール30点集まったの?」


どこか楽しそうな顔で聞いてくる。


「いえ、まだ・・・」

「ふっふっふ。私もうお皿交換してもらったからね」

「はあ・・・」

「あんた今何点なの?」

「・・・17です」


聞かれたことに答えると、小さく眉を顰められた。


「あんま変わってなくない?」

「今停滞期なんですよ。シール当番制が廃止になっちゃったんで・・・」

「またでた。シール当番制・・・前も言ってたけどなんなのそれ」

「いや、だから・・・えーと・・・」


やっぱり普通は分からないか。
ちょっと暁の千鶴化を本気で考えて、返答を待つシンデレラさんに少しめんどうながらも説明する。
と、今度は呆れたような顔をされた。

・・・よく表情が変わる。


「はぁ?何その制度。楽しそうねーあんたたち。若いわー」

「いやこれけっこう画期的な・・・」

「浅羽」


後ろから声をかけられた。
振り向くと知らない人。


「だよな?4組の」


黒髪の男。
誰。
そう考える前にその人はオレをじろじろと見回し始めた。


「いいねー身長あるねー」

「あの・・・」

「髪の毛はもうちょいサッパリしてほしいけどー」

「ちょっと・・・」

「どれどれ、筋肉は・・・」


触られそうになって、ぺしっとその手を叩いた。

っていうか、誰?

聞く前にその人が明るい感じに笑って言った。


「おお、そっか。オレのこと知らねぇもんな。オレ7組の柳っつーの。よろしく」


言いながら手を出してくるけど、オレはふいっと顔を逸らしてお盆を持った。


「今両手ふさがってるんで」

「さっき思いっきり手でふりはらってなかった?」


というか知ってる人でもあんまり体触らせたりしないし。触られたくないし。

と、また柳って人はオレを呼んだ。


「浅羽」


無邪気に笑って言った。


「お前バスケ興味ない?」


 
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