ワンだふる・でいず

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「海に行きます!」

『お、いいね』

『夏樹チャン元気』

「いっくぞー!」


そう元気よく言った彼女の愛車、ト●タ86(GT、メタリックオレンジ)のに乗る。彼女の長年の夢だったらしい。学生時代ガソリンスタンドでバイトしようか迷ったんだよ、と笑って靖友に話したものだが彼に元ネタが分かるはずもない。
愛車に乗れば海などはあっさり着いてしまうもので、1人と2匹はまだ熱くなりきらない砂浜に足を下ろした。


「友人から借りたプライベートビーチなので自由にしていいよ」

『ヒュウ!すげえ友達だな』

『(巻島かぁ…)』


正確には巻島の家のものなのだが靖友には同じことである。
夏樹は車を降りた時のままの黒いTシャツと短パンのまま軽く準備運動をして海に走っていった。水着にはならないらしい。


『夏樹の水着見たかったけどな』

『は、なにお前人間の肌で欲情でできのォ。 あと夏樹チャンそういうふうに見んな』

『欲情はしないさ。昔の癖って言うのかな、普通に興味ある。夏樹の水着って見たことないし』


毎回毎回、隼人はずっと以前から夏樹を知っているような言い回しをする。気に入らないのはそのせいだろう。が、昨日夏樹に言い含められていたため牙を出す気にはならない。


『…行くわ。夏樹チャン泳ぎ始めると速ぇんだ』

『え、おお!ほんとだ速いな』

「靖友ぉ!隼人くん!おいで!」

『テンションもたけぇ』


 
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