KOH(KINGU of HETARE)
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「はう…誉さんかっこいいぃ…」
「(“惚けるな”が正しいな、こりゃ)」
「胴着姿がかっこよすぎてなんか動悸がする」
頬を染める源田に、咲山が楽しそうに笑った。現在3人は武道館の2階にいた。
咲山だけは柵に乗りかかる2人とは違い壁に背を預けている。
「甘いな。ヤバいのはこの後だ」
練習試合のため学生3人が審判をしている。満場一致で誉の面を1本にし、赤い旗をあげていた。
審判が勝負有りと行って2人がさがると、源田と佐久間の体に緊張が走った。
誉は下がり床に正座して篭手を置き、面の紐を外す。そして面を篭手の上に置き、誉が手ぬぐいを髪から外す。
ほんのり赤みがかる頬、滴る汗、伏せられた瞳があがる瞬間の真剣な眼差し。それがこちら、源田達に向けられると嬉しげにニッコリ笑った。
「&◎$♀仝!?」
「ッッッ」
バタンと源田が倒れた。佐久間は膝と手を床につけ、口元を必死に片手で覆った。指の間には信じられない事に赤いものが滴っていた。