KOH(KINGU of HETARE)
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「お疲れ」
「お疲れ!すげーな要戸!」
咲山と佐久間からの激励を受けて、汗もうっすらと少ない誉が笑った。早々に試合が決まっただけあり、疲労感も無いようだ。
「ありがとう。何とかやれたよ」
「指導はいいのか?」
「2分以内の勝ち星は指導無しなんだ」
確かにあの試合に指導などできる教師もいないだろう。
まるで突きのように低い剣先の軌道、鳴る踏みこみ、残心。剣道の知識が無かろうと今の試合が素晴らしかったのは一目瞭然だ。
「でも残念だった」
「何が?」
「試合がすぐ終わっちゃったから、源田くんたちに声援を貰えなかったこと」
「「ッッッ」」
誉は本当に残念そうに言ってから時計を見た。
「次の試合が近いや。次の応援もよろしく」
「お、おう頑張れ!」
佐久間が思い切りのある応援をし、咲山がヒョイと手をあげた。誉もヒョイと手を上げて次の試合のコートに行く。
赤い頬を手の平で作った団扇で風にさらし、佐久間は源田をチラリと見上げた。
当たり前だが、源田の赤さは佐久間の比ではなかった。