ワンだふる・でいず

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『夏樹チャン!腹減ったァ、飯ィ!』


ベッドの上で二度寝を楽しんでいた夏樹の上に跨り、何度も肩を押す。ギシギシと鳴くベッドの悲鳴は無視して何度も彼女をゆする。夏樹は昨日の夜遅くまで仕事をしていたために疲労していることは知っていたが睡眠時間はもう7時間もとっている。時間は9時になる、寝坊だ。
靖友もそれほど時間に厳しいわけではないが、さすがにそろそろ彼女に起きて朝食を準備してもらいたい。

『夏樹チャァン!』

「うぅ…起きるよぉ…ふっくわぁぁぁぁぁぁぁっ」

『フハッ、なんだよその変なアクビぃ』

「よし、起きた。 おはよう靖友」

『おはよォ夏樹チャン』


そう言って身体を起こした夏樹の首元に鼻先から額にかけてをすりよせる。夏樹はくすぐったそうに笑って靖友の黒い毛を撫でる。


靖友は夏樹に飼われる犬である。黒い毛の多いウルフドックで、彼女に飼われて半年になる、推定年齢8カ月。ウルフドックは大きく、尻尾の入った体長で180cmを超え、体重も60kgを裕に越えた。成人男性ほどあるその大きな犬にのしかかられて苦しくないわけもないが、それに勝り愛おしさですべて許せてしまう気にもなる。
ベッドの下側を指さすと大人しくそこに座り、お利口に待つ。体高が高くお互いの顔がよくみえる。


 
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