ワンだふる・でいず
□6
2ページ/3ページ
会話の行き違いを感じて靖友はやはり唸ってしまったが、夏樹を見れば何やら嬉しそうにしている。どうやらこの様子が彼女には楽しそうに見えるらしい。確かに隼人の尻尾は左右にぶんぶんと振れて金色の毛が美しくなびいている。腹が立つ。
「隼人くんは人見知りしないね」
『ああ!まあ夏樹と靖友には特にな!』
「あはは、くすぐったい。隼人くんの毛もふわふわだ」
『夏樹も柔らかくて可愛いな』
隼人がすりすりとすり寄ると夏樹の表情がとろける。床にぺたりと座りこんで隼人の首に抱きつく。もちろん靖友もその光景を黙って見ているわけがない。
靖友は隼人と反対側にすり寄って首にすり寄る。夏樹はきらきらと瞳を輝かせる。
「はわわわわ…靖友もっ、ふわふわだぁ、天国だぁ」
『夏樹チャン幸せそう…むかつく』
『まあまあ。大丈夫、俺は夏樹に手ぇ出したりしないよ』
『ったりめぇだボケ!』