ワンだふる・でいず
□11
2ページ/2ページ
犬の気持ちなど、どうやっても全て理解できるわけがない。切なそうに鼻を鳴らして顔を舐められれば慰められた気にもなる。(舐めるのに必死になっているだけ。)
靖友がどう思っていても夏樹にとってこの件は心底ショックだったのだ。得意でない恋愛小説を書こうと思ったのは主人公が靖友をモデルにできたからである。どうしても納得しきれない。靖友に舐められながら夏樹はやはり唸り続ける。
「ぐぬぬぬぬ…でも悲しい」
『うんうん辛かったねェ』
「うぷ、慰めが激、しい、ぶ」
『味薄くなってきたな。次おでこねェ』
牛乳ではなくもう夏樹の味を求めに行く。さすがにこれは慰めではないと気付き夏樹が靖友の胸を少し押してのける。しかし靖友も負けないのでもうこうなるともみくちゃだ。大きな靖友の身体を押しやれず夏樹の顔を全体的に舐め、夏樹は逃げようと身体を引きずらせた。
「わーわーわー!もう元気!元気だから!」
『知るか!舐めさせろよ!』
「こ、こいつ全く退かないぞっ」
NEXT 2015.10.18
―――――――――
犬って時々狂ったように舐めてくる。