ワンだふる・でいず
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「…えーと、雑誌とかじゃなくてですか」
《それもやります》
きっぱりと当り前のように言う声に、もう苦笑しか出ない。
《お金とかの話はまたしますね。服装はいつもの感じで大丈夫ですし、送迎もしますよー》
「…詳しい内容は後でメールしてくださいね」
《はい!あとテレビ出演の予定もありますからね》 Pi!
「良い逃げ!?」
あの編集!と携帯をいささか乱暴にクッションの上に投げる。
『仕事の話終わったァ?』
「寒咲さんってほんと唐突だよ、ある意味怖いもん」
『夏樹チャン振り回されるもんねェ』
「はあ…いやだなぁ、サイン会とかそういうイベント恥ずかしいんだよ」
ふわふわの靖友の首に抱きつくとグリグリ顔を押し付ける。靖友にとっては嬉しい事なのだが、夏樹にとってはただただ悲しみを紛らわす行為なのだが。抱きしめられたまま舐めれる範囲を舐める。当然くすぐったい夏樹は身をよじるも腕は離さないので靖友はただただ嬉しくなる。
ご主人の嫌なことを癒す、というか夏樹が勝手に癒されるのはなかなか良いものだ。夏樹がベタベタしてくれる。
「一週間前っていうギリギリなところで伝えてくるところが悪質だわ…はあ…」
『はやく準備しなきゃだねぇ』
「…エステか」
『なあにそれ。夏樹チャン美味しくなる?』
「とりあえず今日はお湯はろう」
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