KOH(KINGU of HETARE)
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源田幸次郎は根っからの“いい男(ひと)”だ。頼まれ事は余程のことがない限り断れない。
周りが彼に持っているイメージはフィールドの中で積み上げられたものである。彼はそのイメージ、期待を裏切れない。
「? どうした佐久間」
「……何でもねーよ」
この猫被りはもう源田の癖や本能と言われているものだ。今更どうにかできる物でもない。
周りからの視線がほとんどなくなり、源田の肩から徐々に力がぬけていく。
「そういえば佐久間も咲山に呼ばれたのか」
「は?呼ばれた、ってお前と咲山は同じクラスだろ」
「いや、大人しく教室に居ろと言われたんだが…」
「ちょ、その鉄バットは隠せって言ったでしょ!」
「釘ついてねぇからいいだろうが」
「釘じゃなくてもその血痕とれ」
「これ兄貴の」
「…祥一くんに何してんの」
「!!!」
「あ、要戸だ」
佐久間が言うように、誉が咲山と一緒に教室に入ってきた。それにより源田は体をカチンと固まらせてしまう。
「あれ、佐久間くんだ」