KOH(KINGU of HETARE)
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昼休みになるチャイムを聞いた途端、鬼道の体にドッと疲れが降ってくる。
隣の席に転校してきた女子は話しかけては来なかったものの、気づかれていないとでも思っているのかチラチラとこちらに視線を寄せていたのだ。
煩わしいの一言であった。
気分を変えようと誉の方を見る。今日は咲山に誘われ、源田や佐久間や誉と昼食をとることになっていた。
誉を呼ぼうと口を開くと、彼女のそばに姫花がいた。
「あ、あの…」
「! やあ、転校生の上條さんだよね。私に何か?」
姫花が自分の席の前にやって来た事に一度驚いてからにっこりと笑った。
転校生はいかにも緊張していますといった様子で、胸の前に拳を作り誉を見ている。
誉は急かす事無く笑顔のまま待つ。
「っ私と、お友達になって下さい!」
「うん、もちろん。私は要戸誉だよ。よろしく」
「よ、ろしく!」
「(あれはどういう事だ…?)」
あの転校生には休み時間事に女子にも男子にも囲まれていた。一度も席に寄らなかった誉にわざわざ友人になろうと声をかけた理由は何だろうか。