KOH(KINGU of HETARE)


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昼食を終えみんなが教室に戻る中、誉は違う方向に足を向けた。
次の5限をサボるつもりなのだ。




いつも昼食をとる資料室に入る。佐久間から合い鍵を借り、さらに合い鍵を作ったのだ。

誉はソファーに身を預け、天井を仰ぐ。



「ふぅ」



肩の力を抜くように息を吐き、口元に手を添えた。


ため息の後、扉が音を鳴らして開いた。



「誉」


「修二!」



咲山が扉を閉めると、誉はソファから飛び降りて彼の胸に飛びついた。
よろけはするもののやはり運動部だ。誉を受け止めて背中を数回叩いた。



「なんだよ」


「見た!?見たでしょ!?」


「上條か」



転校の名前を出すと、誉は瞳をトロンと微睡ませ頬を染めた。恍惚という表現すら似合いそうだ。
咲山は誉が自分の胸周りにまわしていた腕を首に抱かせ、自分は彼女の腰を抱いた。そうすると誉の足は床を浮き移動が可能となる。

ソファに腰をおろして、太ももを跨がせるように誉を座らせて目を細めた。



「(……スイッチが入ってるやがる)」


 
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