君が居る今、私の知らない過去


□流星は目で追えない
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5日前のサッカー試合の録画を夜通し見ていた芦堵有紗は寝不足な1日をやっと乗り越え、専門学校からの帰宅時の道中でありながら欠伸をもらした。



「ふわぁ」



イタリア対ブラジル、ユースの試合だったのだが、イタリアエースストライカーのアレティーノがかっこいいのだ。
いや、別に顔が好きでサッカーを見ていた訳じゃないのだが。



「(明日のイギリス対スウェーデン楽しみ)」



イギリスのブラックがまたかっこいい。

ワクワクとしながら自宅前に着くと、門の前に誰かが立っていた。キャップをかぶり、サングラスをしている。服装は黒いTシャツにブルージーンズとラフだが、首もとのシルバーネックレスや手首の革のブレスがセンスの良さを感じさせる。



「(肌白い)あの、何かうちにご用ですか?」


「!?」



近付くと彼の身長は高く、何だか凄く美形だ。さらに有紗には彼の隠れた顔に見覚えがあった。

声をかけると彼は見るからにパァっと表情を明るくしてサングラスとキャップを外した。



「有紗!」


「へ!?」



青年は有紗の名前を呼ぶとガバリと抱きついてきた。


 
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