君が居る今、私の知らない過去


□君が居た過去
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「有紗、じゃあ本当に記憶喪失なの…?」


「あー、うん」


「まあフィデオを忘れるなんてそれ以外有り得ないわよねー」



その後家に入るとフィデオがついに聞いてきたのだ。本当に忘れているのか、と。
ここで隠し立てれば後々面倒が増えるだろうと正直に全て話したのだ。

フィデオは一瞬目を見開き、下唇を噛んだ。ショックを受けているのが分かったが、すぐに眉をキッと上げて有紗に顔を近づける。



「大丈夫だ有紗。俺が絶対君の記憶を取り戻すから!」


「う、うん?」



やる気になったフィデオに申し訳なくなった。記憶を取り戻すも何もはじめからそんな記憶はない。

解離性健忘と考えたが、そういう問題ではないように思う。記憶が無くなったのではなく、イナズマイレブンのキャラクター達と過ごした過去だけがなく彼らの居ない過去は確かにある。

もう一つ考えたのは妄想だ。
ただ妄想とはどこからどこまで妄想か。彼らがいない過去が妄想か、今見える彼が妄想か、イナズマイレブンというアニメが存在することが妄想か、それとも今見ている世界の全てが妄想か。


 
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