君が居る今、私の知らない過去
□不運な大型スーパー
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「…………」
血の気が下がっていく。大型スーパーではあるがこの店は学校の寮からかなり距離がある。普通寮生が来る店じゃない。
しかし今日は日曜日。週末実家に帰って寮に戻る前の買い出しなのだろう。
「イ●ンめぇ…」
「有紗の友達?」
「違う」
小声で話した有紗とフィディオの少し前にはクラスメートの3人がいる。有紗には友人とは言えない、50人中25人のクラスメート。彼女達からも、アドレス交換をした覚えが無かったが金曜日からメールが来ていた。
決してケバいなんて事はないが、つけまつげとメイクで大きな瞳、今時なファッション。自分とは違う世界に生きる子達だ。
「あ、芦堵さん」
「後ろに居るの…え、金曜日のまじだったの!?」
「あの、フィディオ・アルデナさんですか?!」
「私達芦堵さんの友達なんです!」
「きゃぁぁぁっテレビのまんまかっこいい!芦堵さんとはどういう関係なんですか?」
明るくて元気な、黄色い声。有紗も時と場合によっては興奮で声を荒げるが、こんな人目のある所で騒げる程無神経じゃない。