君が居る今、私の知らない過去
□初恋の被害妄想癖
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当たり前の事を言ったつもりだったが、有紗はビックリしたように固まってから、ヘラッと笑った。
「ッッッ」
こんな言葉で嬉しそうにするんじゃない。思わずギュッと抱きしめてみる。守らないといけない、この被害妄想癖の脆い女の子を。
「お、おぉ…玲名胸おっきい、腰細い」
「有紗も胸が少し…いや少しじゃなくデカくないか?」
「腹肉もやばいから自慢にならない」
何がおかしいのかクスクスとお互い抱き合ったまま笑い合う。
お日さま園のみんなは家族、弟妹のような物で、有紗は初めて女友達になる。
“何とも言えない感情”の名前がついて、私は納得した。
「(庇護欲だ)」
源田はよく守っていたんだな。
次は私が守ろう。源田ではなく、私が。
「え、玲名有紗ちゃんと友達に?」
「なんだヒロト。文句でもあるのか」
「別に。むしろ嬉しいよ」
上機嫌で食事をするヒロトの意図が掴めず首を傾げる。