君が居る今、私の知らない過去
□少年の輝く瞳
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「(おいおい…)」
「よろしくお願いします、芦堵さん」
2週間と月曜日の実習が済んであと実習も残すところ4日、その日の午後2人目の患者が退院した。
明日からどう実習するかが目下私の悩みだ。
学生が患者を受け持つ際にはインフォームドコンセント、説明と同意を必要とする。つまり納得してもらうのだが、小児は理解力が低く本人達から承諾を得るわけにいかないので基本家族に許可を貰う。
が、今日家族が来て同意が貰えそうな小児がいないというのだ。そこで小児は小児でも、14歳という理解力のある子を受け持つ事になった。
「剣城優一くん、14歳。2年前腰椎損傷と神経断裂、半月盤損傷で下半身麻痺になったの。本当は整形の子なんだけどベッドが足りなくて2週間だけここに居るの」
そんな看護師の言葉に、有紗は絶句した。12歳という幼い少年が受けた壮絶な傷はもちろん、その少年の名前に。
「はじめまして、剣城くん。今日から金曜日まで剣城くんを受け持たせていただきます、学生の芦堵有紗です。よろしくお願いします」
そして冒頭に戻る。