君が居る今、私の知らない過去


□君はプロサッカー選手だから
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「剣城くん」


「芦堵さん」



病棟の前に立った有紗を見つけ、優一は車椅子を動かした。



「本当に来てくれたんですね」


「うん、ちょっとサプライズしようってね」



むこうもめちゃくちゃ喜んでたし。と小さく呟いて優一の車椅子を押す。優一には聞こえていないらしい。



「どこに行くんですか?」


「中庭だよ。と、言いつつ到着」


「……………え?」






「有紗!会いたかった!」



中庭に出ると、季節の花の並ぶ花壇が目についた。それを眺めるのに良さげなベンチがある。

そこに仲良く(?)座っていた男の3人の内1人が立ち上がって優一と有紗に向かって走ってくる。満面の笑みだ。



「寄るな。朝会ったんだから9時間もたってないでしょう」


「俺には9年位に感じたよ」


「体感時間狂ってる。大丈夫?病院行きなよ……ああここ病院だ」


「有紗が看病してくれるなら」


「真顔で何をアホなこと言ってんの。イタリアに送還するから」


「有紗と一緒に」


「お願いだから真顔で意味不明なこと言わないで…!」



 
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