君が居る今、私の知らない過去
□コール!
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テオに言われたバーの奥に行くと、扉の前に若い男が居た。目つきが悪く、いかにも裏の人間といった感じだ。
「(まあ下っ端だろうな…)」
「あ?なんだよ嬢ちゃん。ここから先はガキの入る場所じゃねぇよ」
「20歳です」
「……ガキはガキだ。とっとと帰っデダッ!!」
若い男は有紗を帰そうと立ち上がったが、それを後ろから中年の男が頭を殴った。
ゴヅッと鈍いくらいの音が聞こえた。
「いだぁぁぁぁ!何するんすか!」
「馬鹿野郎!新人でも有紗の事は覚えとけ!テオに殺されるぞ」
「テオさん…!?こいつテオさんの女なんすか?!」
「めったな事言うな。今度はフィディオに殺されるぞ」
「! テオ」
「よう有紗。早速来たな。ロパオさん、そこの新人には有紗のことよぉぉぉく言っといて下さい。
いくぞ有紗」
「ん。じゃあ失礼します」
テオについて鉄の扉をくぐると、そこには映画やドラマで見るような、カジノのようには煌めかない古びだ闇酒場のような賭博場が広がっていた。
若い女はおらず、酷く場違いのように感じた。