君が居る今、私の知らない過去


□笑顔の裏側には
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「!」


今はまだ8時。日本では同じ日の15時位か。
学校に行きながらわざわざ連絡してくれたのだろう。



しかも“今”。
思わず笑い出してしまった。



「っあはは、幸次郎ってばタイミング良すぎるよ」


『何かあったんだな。全く、分かり易い』


「そんなに分かってくれるの、幸次郎と玲名位だよ」


『…被害妄想、加害妄想、罪業妄想、関係妄想、微小妄想etc....』


「え?」


『有紗の持ってる類の妄想だ。帰ってきたら、俺がそういう所をどれだけ知って親友をやっているか教えてやろう』



電話口の向こうで、源田がおどけている様子が想像できてなんだか痒くなって下唇を噛んだ。
きっと自分が不安を感じている事などバレている。たまらなく恥ずかしいが、たまらなく嬉しい。



「うん、楽しみにしてる」


『ああ。あ、講義が始まる。戻る日と時間はメールするんだぞ!』


「お母さんみたいだ。了解、後で送る」


『じゃあ』


「じゃあね」



電話を切ると、スッと体の不調が落ち着いた。
笑い合っていた人達の話題は、最近発売されたブランドの話しだった。自分の事ではないと分かる。



あまりに簡単で、馬鹿みたいだと笑った。



 
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