君が居る今、私の知らない過去
□幸せ≠幸い瑞hい
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「有紗、これだよこれ。この機種の白にしようよ」
「うん、フィディオに任せる」
残念ながらイタリアの携帯なんて知らない上に、今自分に決定権があると考えていない。
今、自分のあらゆる権利はフィディオ・アルデナが所有している。
有紗は本気でそう思っていた。
「すみませんこれの白下さい」
「あ、アルデナ選手!?しょ、少々お待ち下さい!」
女性定員が顔を真っ赤にして店の奥に行く。有紗にはここに居るよう言い、フィディオも契約等を行うカウンターに行ってしまう。
手持ち無沙汰になってしまった有紗は適当にその辺を見て回っていた。
フィディオは有紗を家に閉じこめたりはしなかった。ただそれは決して優しさでも何でもなく、彼が考えた自分と彼女が出来るだけ長く一緒にいるための方法だった。
人1人を完全に人から隠すのは無理だ。あのフィディオ・アルデナが女を軟禁しているなんて事になれば社会的地位が無くなるのは勿論、何よりも有紗と離されてしまう。
何よりも彼が避けたいことだ。そのために彼は彼女が外出することを我慢した。