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□天使はどうやら男前のようで
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天使や妖精を信じていたわけじゃないかった。神話や童話は大好きだったけれど、ニンフっては女の欲望をいっぱいに詰めたような存在だったし、天使ってのはそもそも何でどれもエロスの姿をしているのか分からない。






でも、彼女を見た時思ったのよ。


「(天使や妖精がいるなら、この子のような子でしょうね…)」


ってね。









「おはよう、菜稚」


「玲央先輩。おはようございます」



菜稚という少女は1年ながらこのバスケ強豪の洛山高校の主将と君臨する赤司征十郎と学級会を任されている。

いつも穏やかで、感情の表出にも常に淡い。初めて玲央が彼女を呼び止めた時も、後ろから腕を引かれたにも関わらず声をあげたりしなかった。


小首を傾げ、『振り向いたらお顔が無いからビックリしちゃいました』と目を細めただけだった。



一目見た時から、天使だ。と慌てて声をかけた玲央の中で恋が生まれた瞬間である。

天使がエロスの姿なのは、天使に出会った人は恋に落ちてしまうからだろうか。



「今日もとっても可愛いわ」


「玲央先輩は今日も綺麗です。蜘蛛の巣に光る朝露のように神秘的です」


 
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