愛し愛され腐っていく
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仁絵は帝光中学校でも比較的珍しく帰宅部である。しかし彼女の放課後は忙しい。
・・
特技が運動部で大人気なのだ。
「敦、いい加減練習に参加しろ」
「だって膝痛いしー。変な力入って痛めたらまずいって言ったの赤ちんじゃん」
「………せめてちゃんとベンチに座っていろ」
「はーい」
「(ああ、ごちそう様です…!)」
体は大きいが精神はまるで小学生な彼に、あのスパルタ主将の赤司も本当の意味ではきつくは言い切れない。
それが仁絵の最高のご馳走だ。
仁絵は右手にあるスーパーの袋を落としかけながら、左手で口元を隠して体を震わせる。
「(『まったく、敦はしょうがないな』『えへへー』みたいな。つい甘やかしちゃう赤司くん!萌える!)」
「あ、仁絵ちんだ」
「! 仁絵」
バレてしまったか。と仁絵は慌てて駆け寄る。他の(一軍)部員がいないのは外周中なのだろう。
「ごめんなさい。サッカー部に呼ばれて遅くなりました。これ紫原くんに」
「わー、何々?」