愛し愛され腐っていく
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「じゃあ紫原くん、靴下まで脱いでくれるかな。出来たら立って貰っていい?」
「うん、よろしくー」
仁絵は紫原を誘導して体育館の壁に手をついて立たせる。そしてヒョイと壁と紫原の間に入ってしゃがむ。
彼が痛いという右膝を見て指の腹でグーッと筋肉の走行に沿って押す。
途端に仁絵のだらしない笑顔は消え、真剣な表情になる。
「仁絵ちんのそういう所、俺飽きなくて好き」
「ありがとう。出来たら壁ドンは赤司くんを相手にしてね」
「(ろくでもねー)」
軽口(だが心底からの言葉)を聞いた赤司が、まあ近々やるか。とプランには追加した。
「脚90°に昇降して」
「しょーこー?」
「上げ下げしろって事だよ」
「その後伸ばしたまま後ろにひいてね」
テキパキと指示を出しどの辺りで痛みや違和感を感じるかを早々把握すると、おもむろに肌色のテーピングを貼っていく。
鮮やかといえる手並みだ。
あっという間に膝を出した形でテーピングが貼り終わり、仁絵が首を傾げた。
「どう?ちょっと動いてみて」
「んー」