愛し愛され腐っていく
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テーピングが貼られた膝を曲げのばしし、ググッとしゃがむ。そして思い切り跳ぶ。その到達点は信じられないくらい高い。
仁絵にはその高さに驚いたが、赤司はその速さに驚いた。このスムーズな跳躍を見れば痛みが消失しているのがすぐ分かった。
紫原も笑顔だ。
「うーん、完璧。さすが仁絵ちんだねー。ちゅーしたげる」
「敦。許さないぞ」
「もう十分だよ紫原くん。今の赤司くんの言葉で私は満足だ!」
「仁絵ちんてば安上がりだよねー」
仁絵ちんはずっとそのままでいてね。と頭をポンポンと撫でる。女子平均より高いといっても、紫原とは約40cmも身長差があるため頭を撫でるのは容易だろう。
「こんな風に頭を撫でられることもあんまり無いし、十分これもご褒美だね」
「安上がりには変わりないよー」
「まったくだ」
仁絵の父は医者をしている。母は看護師、兄が理学療法士だ。白樺家は礼儀や一般常識には厳しく躾られるのの、後は自由を尊重し1人の人間として認められる。別に英才教育などを受けた訳では無かったが、彼女は親の医学書などを絵本代わりにしてきた。