Tellus


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さて、思いだせば私ごとき凡庸な人間にはなんと色々な事があった人生かと思います。
人より違うのは自我を持ったその時の記憶と、死んだ後だけです。

まずは記憶もあやふやではありますが、私はこれが2度目の人生と知っていました。











「私と結婚して貰えませんか」



帝国ホ●ルのレストランで夕食を一緒にとり、デザートの季節のジェラートを前に彼女はポカンと呆けて目を瞬かせた。



「琴恵さん?」


「あ、ごめんなさい。吉良さんがあんまり面白い冗談を言うから」


「冗談ではありませんよ」



あまり身長は高くないが、真っ直ぐに艶やかな髪、エメラルドグリーンの瞳に白い肌。いつも笑顔を絶やさない穏やかで綺麗な人だ。そして聞くに18歳という若さでありながら吉良財閥総帥だという。
こんな凄い人が私などを目にかける理由が分からない。



「私みたいな小娘を吉良さんが選ぶ理由が分かりません」


「あなたが小娘なら私も小僧です」


「からかわないで下さい。年の話しではないんです」



18歳の彼と16歳の私に歳の差は少なくとも、立場の差は天と地だ。



 
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