Tellus


□4
1ページ/4ページ




学校に行かなきゃならない時間になり、琴恵はどうしたものかと考えてから携帯を取り出した。



「琴恵、あなたは今高校生なんですか?出会った時と同じ位に見えますが」


「まさにその通りで16歳です」


「………琴恵が亡くなったのは5年前ですよね」


「あなたの妻だった私がこの体で目覚めたのは今日です」


「ますますややこしいですね」



琴恵は携帯で高校に電話をかけて休むと教師であろう人に伝える。
このまま自分がいなかった5年について聞こうと考えていたし、星二郎が琴恵の手を放そうとはしていなかった。



「ああ、迎えが来ましたね」



吉良家リムジンが見え、すぐそばに停まる。



「星二郎様、お向かいに、あがり………奥、様?」


「お久しぶりですね、本匠川さん」


「本当に、奥様なんですか?」



40歳になったばかりだっただろうか。いつも無表情でいると思っていた彼の動揺に、星二郎と琴恵は顔を見合わせてクスクスと笑った。



「事故を起こさないように。また彼女と離れ離れになるのはたまりません」


「ふふ、ええ」



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ