Tellus
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学校に行かなきゃならない時間になり、琴恵はどうしたものかと考えてから携帯を取り出した。
「琴恵、あなたは今高校生なんですか?出会った時と同じ位に見えますが」
「まさにその通りで16歳です」
「………琴恵が亡くなったのは5年前ですよね」
「あなたの妻だった私がこの体で目覚めたのは今日です」
「ますますややこしいですね」
琴恵は携帯で高校に電話をかけて休むと教師であろう人に伝える。
このまま自分がいなかった5年について聞こうと考えていたし、星二郎が琴恵の手を放そうとはしていなかった。
「ああ、迎えが来ましたね」
吉良家リムジンが見え、すぐそばに停まる。
「星二郎様、お向かいに、あがり………奥、様?」
「お久しぶりですね、本匠川さん」
「本当に、奥様なんですか?」
40歳になったばかりだっただろうか。いつも無表情でいると思っていた彼の動揺に、星二郎と琴恵は顔を見合わせてクスクスと笑った。
「事故を起こさないように。また彼女と離れ離れになるのはたまりません」
「ふふ、ええ」