Tellus


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「っお母さん、ヒロトには会った?」



空気を変えるように瞳子が声をはる。琴恵はその質問に答えるため、瞳子にむいた。



「うん。……そっくりだったね」


「お兄ちゃんとそっくりなのに年下で戸惑ったけど、お母さんみたいにお兄ちゃんになるかも…!」



期待に満ちた目の色の瞳子の言葉を聞いてから、星二郎を見る。同じ期待に満ちた瞳だ。
無理も無い。もし彼が吉良ヒロトの人格を持ったら、家族がまた揃う事になる。期待してしまうのだろう。

琴恵は目を細めた。



「そうね、そうかもしれない。でも、今は“ヒロト”じゃない。“基山ヒロト”だよ」


「……」


「星二郎さん、きっとこの体が私じゃなかったころにあなたに“琴恵”と呼ばれたらその体の彼女は不愉快だろうし、私も違う女性に琴恵と呼びかけられたら、悲しいです」


「…琴恵」



琴恵は瞳子の頭を撫でる。



「ヒロトはヒロトよ。どちらもね」



 
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