Tellus
□6
1ページ/4ページ
「琴恵大丈夫ですか?」
「………はい」
「大丈夫には見えません」
琴恵はここ3日間熱を出していた。この体は前の私よりずっと弱い。一度熱を出すと何日も治らない。
星二郎は穏やかながら心底心配げに床に臥せる彼女の頬を撫でた。
今ばかりは星二郎の手も冷たい。
「38度ですから、辛いでしょう。仕事を休めれば良かったんですが…」
「大丈夫ですってば。第4保育園の行き来の疲れだと思いますし、休めば治りますから」
「……帰りにアイスを買ってきます」
「ふふ、待ってますね」
星二郎が立ち上がろうと一度膝を立ててから、また座る。何事かと琴恵は首を傾げた。
「風邪じゃないんですよね」
「? はい。咳もないですから間違いないです」
その言葉に、星二郎はニッコリ笑うと頭を下げるようにして琴恵にキスした。
「ん…、星二郎さん」
「風邪じゃないならうつらないでしょう」
そうきれいな顔でイタズラっ子のように笑う夫に、琴恵は赤かった顔をさらに赤くさせ「もう」と言う。
「…いってらっしゃい」
「いってきます、琴恵」