短編集T

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「………。」

「………。」


そっと、2人の唇が離れる。


「……今、のは…?」


緑の短髪男が驚いたような、だがほんのりと頬を染めながら問う。


「…これが……ベロチュー。」


こちらも桃色に頬を染めながら、金髪の男が答える。





真夜中のアクアリウムバー。







今宵、緑髪の男・ゾロと金髪の男・サンジは、
生まれて初めての………………ディープキスをした―――。












******


約半月前、2人の想いが通じ、内緒のお付き合いを始めたゾロとサンジ。


しかし、丁度その頃に着いたW7で色々あり、
2人は恋人らしい事など何一つしていなかった。

だが、新たな仲間と船を迎えて魚人島へと進んでいる今、
2人の恋人としての時間はたっぷりある。

昼間は相変わらず言い争いをしているが、それも一種の愛情表現。
夜は夜で今度は、一緒に酒を飲んだり雑談したりと、
昼間とはまた異なる愛情表現で、2人だけの時間を過ごす。




2人はそれで満足だった。幸せだった。







でも―――。







『…恋人って確か……キスとかするモンじゃねェのか?』

ゾロの放った一言で、2人の関係は少しだけ進展した。



ちゅ…



不器用ながらも甘い甘い、触れるだけのファーストキス―――。





それが3日前の話。



その日から、2人の口付けは習慣となった。



ちゅ……ちゅ……



数はこなしても、やっぱり軽く触れるだけのキス。







そして現在―――。












******


「…すげェな、ベロチューって……。」

「…だな。こりゃ予想以上だ…。」


初めての体験の余韻に浸りつつ、なんだかぎこちない様子の2人。


「それにしても、コック…お前ホント知識だけは豊富なんだな。」

「“だけ”言うな!!……知識すら皆無に等しいお前よりマシだろ。」

「…でも本当の事だろが。それより………もっかいさっきの寄越せ。」

「は?んッ!?」


ゾロはサンジの後頭部を掴み、今までで一番強く、唇を押し付けた。

余りの激しさにサンジは目を見開く。





そしてサンジの口内に遠慮なく侵入して来る舌……。






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