短編集T
□1ランクアップ
1ページ/9ページ
「………。」
「………。」
そっと、2人の唇が離れる。
「……今、のは…?」
緑の短髪男が驚いたような、だがほんのりと頬を染めながら問う。
「…これが……ベロチュー。」
こちらも桃色に頬を染めながら、金髪の男が答える。
真夜中のアクアリウムバー。
今宵、緑髪の男・ゾロと金髪の男・サンジは、
生まれて初めての………………ディープキスをした―――。
******
約半月前、2人の想いが通じ、内緒のお付き合いを始めたゾロとサンジ。
しかし、丁度その頃に着いたW7で色々あり、
2人は恋人らしい事など何一つしていなかった。
だが、新たな仲間と船を迎えて魚人島へと進んでいる今、
2人の恋人としての時間はたっぷりある。
昼間は相変わらず言い争いをしているが、それも一種の愛情表現。
夜は夜で今度は、一緒に酒を飲んだり雑談したりと、
昼間とはまた異なる愛情表現で、2人だけの時間を過ごす。
2人はそれで満足だった。幸せだった。
でも―――。
『…恋人って確か……キスとかするモンじゃねェのか?』
ゾロの放った一言で、2人の関係は少しだけ進展した。
ちゅ…
不器用ながらも甘い甘い、触れるだけのファーストキス―――。
それが3日前の話。
その日から、2人の口付けは習慣となった。
ちゅ……ちゅ……
数はこなしても、やっぱり軽く触れるだけのキス。
そして現在―――。
******
「…すげェな、ベロチューって……。」
「…だな。こりゃ予想以上だ…。」
初めての体験の余韻に浸りつつ、なんだかぎこちない様子の2人。
「それにしても、コック…お前ホント知識だけは豊富なんだな。」
「“だけ”言うな!!……知識すら皆無に等しいお前よりマシだろ。」
「…でも本当の事だろが。それより………もっかいさっきの寄越せ。」
「は?んッ!?」
ゾロはサンジの後頭部を掴み、今までで一番強く、唇を押し付けた。
余りの激しさにサンジは目を見開く。
そしてサンジの口内に遠慮なく侵入して来る舌……。
→