MUGIWARA
□甘い一日
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「…は?お前がおれを……甘やかすだと?!!」
「うん!!おれ…決めたんだ!!エースを甘やかすって!!!」
「……!!」
「にししっ♪」
あまりに唐突で言葉を失ってしまったエースの前には、
ニッコニコの笑顔を向ける気合い十分のルフィの姿。
本日も、この小さな兄弟達が暮らす山奥は、
とても穏やかなポカポカ陽気に包まれていた―――。
「…………ルフィ…取り消すなら今の内だぞ?変な冗談言うな。」
「冗談なんかじゃねェ!!おれは本気でエースを甘やかしてェんだ!!」
「…はぁ〜……。」
あからさまなため息と共にガクーッとうなだれたエースは、
もう何を言っても無駄だと悟り、諦めにも似た感情を抱く。
でもだからと言って、それで納得出来る筈もなく……。
「…理由。」
「ん?なんだ??」
「なんでお前、突然そんな事言い出したんだよ?」
「ああ、それか。シャンクスが言ってたからだ!!ししし!!」
「シャンクス……お前の命の恩人が?」
「うん、さっきミルク飲んだからな♪」
「はああ??」
シャンクスとミルクと弟の提案……エースはこの関連性にますます悩む。
そしてとりあえず、一番不可解な“ミルク”について聞く事にした。
「…ミルクがどうかしたのか?」
「ん?あのミルク、すげェ甘かっただろ?甘くてうまかった!
そしたら、シャンクスが前に言ってたのを思い出したんだ!!」
「…ふ〜ん…。じゃあ、その恩人が言ってた内容ってのは?」
ルフィの発言はやはりよく分からなかったが、
“甘い”繋がりなのだと無理矢理自己解決し、
今度は核心に迫るであろう質問を投げかける。
「“大事な奴ができたら、うんと甘やかしてやるのが男だぜ〜”って。」
「ッ!?」
それは、つまり…。
「エースはおれの大事な兄ちゃんだからな!!」
「…〜〜ッ!!!」
「…エース?」
「…!!お前みたいな弱虫で手のかかる弟に誰が甘えるかァッ!!!!」
ダダダダダッ!!!
…エース逃亡。
「……なんだあ…?」
予想外のエースの態度にポカンとしながら、ルフィは小首を傾げた。
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