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□待ち時間
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貴方のために
私は存在するの




真っ暗な部屋に月明かりが窓から差し込み、直線を描く。机の上にある分厚い彼の愛読書の隣にはランタンが皓皓と暖かい光を放ち、本を怪しげに照らしつけていた。両手で支え膝の上に置いていたココアはいつの間にか冷たくなっていて、時間の長さを感じさせる。

『…はぁ、』

ついたため息から漏れる白い息。足の裏から伝わる床の冷たさに今更気づかされる。木製のクローゼットからカーディガンを取り出して羽織る。窓から見た空からは星以外にも雪が輝いていた。どうりで寒いわけだ、任務で帰りが遅くなると連絡が入った時から何時間がたつ事だろう。私はどれだけ彼を待っているのだろうか。自分でもわからないくらいに彼を待ち続ける。

腰をかけるとギシッと軋む音をあげる彼の体温を忘れたベッド。触れてひやりとするシーツに彼を思い出して切なさを感じ、あの体温が恋しくなる。否、私は体温だけでなく彼が恋しい。今、こうして彼を待っている間にも彼を欲してしまっているのがわかる。

『…ラビ…』

彼の名前を呼ぶ私の情けない声が部屋に響き渡った。不意に零れ出す涙、頬を伝い顎から床へパタリと落ちていく。隙間風が頬を拭い、涙の冷たさを実感させる。あぁ、彼に会いたい。

『会いたいよぉっ…』




(溢れる涙は)
(時間を忘れて)
(流れていった)


寂しい。私は彼がいないと生きていけないのだ。彼が消えたというのなら、私もこの薄汚い世界から消えよう。





END.

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