ボンゴレ島物語

□1、出会い
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牧場をやることを決意したハルは、荷物を整理すると生活必需品がどれほどあるのかを確認した。
母ダニエラが色々と用意してくれていたお蔭で特に自分で揃える必要はなさそうだ。
揃えようにもハルの持っているお小遣い程度の金額ではたかがしれているのだが。
当分の生活費も準備されており特に問題はない。
問題があるとしたら牧場のことだろう。
「む〜・・・誰に聞くのが一番ですかねぇ・・・」
専門書が何かあるかと探しはしたが特に見つからず、父ジョットもこの島の者達に聞きながら作業をしていたのだろうと推測する。
しかし、誰に?
肝心なことがわからずにハルは、ため息を零しアンティーク調の棚に置かれた写真を見た。
穏やかそうな老人と両親が写っている。
「あ!このお爺さんに聞けばわかるかもしれません!!」
名案だ、とハルは写真を手にした。
「それにしても・・・似合ってるんだか、似合ってないんだか微妙です」
会社勤めをしていた父は黒を好んできていたから、写真の中のいかにも牧場主ですといった格好に違和感しか感じない。
前の彼を知らない人が見たらどうということはないのだろうが、前を知る者からすればはっきり言って笑える姿だ。
「おじさん達きっと笑っちゃいますね」
父の同僚を思い出しハルは、ふふっと笑う。
知らぬうちに入っていた力がほんの少し抜ける。
「さあ、行きますよぉ〜」
両頬を軽く叩き気合を入れるとハルは元気に家を飛び出した。
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