ボンゴレ島物語

□3、初カブ
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翌朝。
約束通りツナヨシは早朝にハルのもとを尋ねてきた。
「おはよう。ハル」
「おはようございますぅ」
都市部でのんびりと暮していたハルにとって早起きは慣れないもの。
しかも急だったために実は眠いのだ。
誤魔化すことも出来ずツナヨシが家から出て来たハルを見て苦笑を浮かべた。
「俺も最初はそうだったから」
と慰められると、逆に恥ずかしいものである。
「じゃあ、始めようか」
「はい!」
「まずはクワ。これは畑を耕すものだよ」
こうして使うんだ、とツナヨシは実演してハルに渡す。
「重いから気をつけて」
「はい」
ハルは、言われたとおりにクワを使い少しだけ畑を耕した。
「は、はひ・・・疲れます」
クワは、想像より重く、上へとふりあげて、下に落とすという作業のために腰にくる。
腰痛を訴えるおばあちゃんの気持ちがわかります、とぼやけばツナヨシが笑った。
「慣れれば平気だけどね。ゆっくりしていくこと。無理したら身体壊すから」
「わかりました。次はどうするんですか?」
「種を蒔くんだよ。これ母さん達からハルにって。カブなんだけど育てやすいから時期的にもいいしね」
はい、と手渡されたのはカブの絵がついた紙袋。
「はひ、いいんですか!?」
「いいんだよ。そうだ、後でランボの店に行こうか。いろいろな種があるから」
「是非!!あと、種、ありがとうございました、とお伝え下さい」
ツナヨシの指導のもと種を植えて、次はジョウロに水を汲み畑に蒔く。
朝の陽射しにきらきら光る水が綺麗で、そっと吹く風が気持ちよくてハルは笑顔を浮かべていた。
「水をまくのも体力使いますね」
「学校や家の小さな花壇にあげるのとは違うからね。雨の日はまかなくていいから。水を与えすぎて逆に腐ることもあるし、そこは気をつけて」
「わかりました」
「じゃあ、今日はここまで。午前中は休んで、午後からランボの店に行こう。後で迎えに来るよ」
「はい!待ってますね」
ハルは、帰って行くツナヨシを見送り家に入るとそのままベッドに倒れこんだ。
作業中は集中していたし、なんだかんだと楽しかったので気付かなかったが、結構疲れている。
「はひ・・・少しだけです・・・」
襲い来る眠気に逆らえずハルはそのまま目を閉じた。
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